ULVAC TECHNO,Ltd. CHEMICAL

 

アルマイト処理(アルマイト、硬質アルマイト)とは

アルマイト(陽極酸化処理法)の基礎から、当社独自の応用技術をご紹介しています

「アルマイト(Alumite)」は理化学研究所によってアルミニウムに対するシュウ酸浴の陽極酸化処理法の研究がなされ、1931年にアルミニウムの陽極酸化皮膜を応用して作ったいろいろな物品につける名前として商標登録されました。 「アルマイト」は、現在の国内では陽極酸化処理法による酸化皮膜を総称して使われています。「アルマイト」の主成分は非晶質アルミナ(Al2O3)であると言われています。

●アルマイトの構造

アルマイトの構造はケラー・モデルが定説となっております。ケラーはアルマイト皮膜を電子顕微鏡で観察した結果、アルマイト皮膜構造は下図に示すような六角柱の集合体であると報告しました。ケラー・モデルは“六角柱モデル”ともいわれております。弊社では「硬質アルマイト」の他、硬質アルマイトにフッ素樹脂の滑りを付加した「タフラム」や硫酸アルマイトの中でもクラックを極めて少なくした「バッカルSAL」及び蓚酸(シュウ酸)アルマイトの中でもクラックを極めて少なくした「バッカルOX」を取り扱っております。

●封孔処理

アルマイトを高温加圧水蒸気で処理したり、沸騰水中で煮沸すると酸化被膜が優れた耐食性を示すことが70数年前に発見されました。この水蒸気処理や沸騰水処理をアルマイトの「封孔処理」と呼びます。封孔処理により、アルマイトが優れた耐食性を示す理由として、昔はアルマイトの微細穴が完全に塞がるためであると考えられていました。しかし、その後の電子顕微鏡などによる研究の結果、封孔処理によって、アルマイトの細孔は完全に封じられるのではなくて、アルマイトの外側の孔が狭くなる程度であると報告されております。他の研究者によると、アルマイトの孔が科学的に不活性になるだけであるという考えもあります。封孔処理の化学反応は酸化被膜の一部分が水和反応を起こすことであるといわれております。
 Al2O3+H2O→2AlO(OH)→Al2O3・H2O(ベーマイト)

※バッカル処理は主に真空装置内で使用され、高い耐食性が求められるため、封孔処理をするケースが多いです。

●寸法増加

硬質アルマイト皮膜は、アルミ素材自身を原料としているので、アルミ素材を浸食しながら成長します。そのため、膜厚と寸法増加量が異なり、「(寸法増加量/膜厚)×100」を寸法増加率(%)と呼びます。寸法増加率は材質により異なります。通常、膜厚の40~50%の寸法増加が見込まれます。

 

●アルマイトの成膜方法

硫酸や蓚酸(シュウ酸)などを電解浴とした電解槽へアルミニウムを陽極として浸漬し、これを直流あるいは交流で電気分解を行うことでアルミニウム表面に緻密な酸化皮膜を生成させることをいいます。陽極の酸化反応で膜を成長させるので、陽極酸化被膜とも呼ばれます。(製品(素材)を陰極として、析出させる金属イオンを含む水溶液中に対局(陽極)を入れて電流を流す「めっき」とは異なるものです。)電気分解を行うにあたり、治具を使用してアルミニウム製品を保持し、電気を流す必要があります。この治具と接触した箇所は接点と呼ばれ、膜の成長が起こりません。弊社では硫酸系硬質アルマイトの他、硫酸硬質アルマイトにフッ素樹脂を複合した「タフラム」や硫酸アルマイトを応用した真空装置用特殊アルマイト「バッカルSAL」及び蓚酸(シュウ酸)アルマイトを応用した真空装置用特殊アルマイト「バッカルOX」を取り扱っております。

●アルマイトの工程

 

※本ページの記載内容の一部は下記資料を引用しております。
 ・新・アルマイト理論 カロス出版株式会社 
 ・JIS8603 アルミニウム及びアルミニウム合金の硬質陽極酸化皮膜

表面処理カタログ(PDF)

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