ULVAC TECHNO,Ltd. CHEMICAL

 

よくあるご質問:各種表面処理方法による処理について

材料、使用目的により最適な表面処理方法をご紹介しています。

Q1  タフラム®とは?

Q2  タフラム®で色の指定はできますか?

Q3  溶接した部品をタフラム®処理した場合どうなりますか?

Q4  タフラム®は硬質アルマイトより硬くなりますか?

Q5  タフラム®後に素材の面粗度は維持できますか?

Q6  タフラム®に適した材質は何ですか?

Q7  タフラム®の剥離再処理は可能ですか。

Q8  タフラム®処理済み品を追加工したのですが、再処理方法に関して教えてください。

Q9  タフラム®はどこでできますか?

Q10 ニダックス®とは?

Q11 ろう付けした部品でもニダックス®できますか?

Q12 ニフグリップ®とは?

Q13 ニダックス®、ニフグリップ®でマスキング(めっきをつけない場所)を指定できますか?

Q14 バッカル®とは?

Q15 ニダックス®とニフグリップ®の違いを教えてください。

Q16 ニダックス®はアルミ材に処理できますか?

Q17 ヘリサート等が入ったままアルマイト処理(バッカル処理、タフラム処理)は可能ですか?

Q18 硬質アルマイトは処理可能ですか?

Q19 ハードアノダイズ(HARD ANODIZING)処理は可能ですか?

Q20 蓚酸アルマイト処理は可能ですか?

Q21 テフロン※1(潤滑)硬質アルマイト処理は可能ですか?

Q22 カニゼンめっきは処理可能ですか?

Q23 ルブニック処理は可能ですか?

Q24 テフロン※1(潤滑)ニッケルメッキは可能ですか?

Q25 クロムメッキは処理可能ですか?

※1 テフロンはデュポン社の商標登録です。

 

Q1:タフラム®とは?

タフラム®は米国General Magnaplate社の登録商標です。米国General Magnaplate社が開発した硬質アルマイトとフッ素樹脂を組み合わせた表面処理です。(株)アルバックが技術導入し、アルバックテクノ(株)が日本で最初に商品化しました。
General Magnaplate Corp.
LICENSEES OVERSEAS:
Ulvac Techno, Ltd., Japan
タフラム®はフッ素樹脂を複合させたことにより滑り性(自己潤滑性)が増し、自己保護作用で耐磨耗性の向上が期待されます。

Q2:タフラム®で色の指定はできますか?

タフラム®処理は硬質アルマイト処理による自然発色のため、発色の指定はできません。皮膜の色を左右する要因として、材質・膜厚・熱処理があります。同じ履歴の材質で膜厚が同じであれば、似た色になります。

Q3:溶接した部品をタフラム®処理した場合どうなりますか?

溶接した部分にタフラム®処理を施すと、溶接によって熱が加わった部分は、熱が加わっていない部分に比べ色が薄くなります。また溶接時に他材質を使用していることがあれば色が変化します。

Q4:タフラム®は硬質アルマイトより硬くなりますか?

硬質アルマイトと同じ硬さです。タフラム®とは硬質アルマイトにフッ素樹脂を複合させたものです。フッ素樹脂を複合させてもベース膜の硬質アルマイトは硬くなりません。

Q5:タフラム®後に素材の面粗度は維持できますか?

若干ですが面粗度は悪くなります。タフラム®のベース膜は硬質アルマイトです。めっきの場合はニッケルあるいはクロム等を析出させるため、表層の皮膜が一番新しい皮膜です。しかし、硬質アルマイトの場合は低温の硫酸浴中で陽極酸化反応にてアルミを酸化アルミに変化させることにより成膜します。この陽極酸化反応は皮膜の最下層にて行われています。硬質アルマイトで一番新しい皮膜は最下層であり、表層の皮膜は最初に成膜された皮膜が押し上げられてきたものといえます。表層の皮膜は硫酸浴にもっとも長く触れている部分であるため面が荒れてしまいます。俗に面粗度1Sが3S程度になるといわれています。部品の製作時に面粗度を要求値にしておくことは重要です。

タフラム®皮膜「バフ研磨時面粗度比較データ」

Q6:タフラム®に適した材質は何ですか?

ほとんどのアルミ材に成膜することが可能です。しかし、材質によっては成膜しにくいものがあります。銅(Cu)の含有量が多いジュラルミン系は、硬質アルマイトの成膜時に溶けやすい材質といえます。また、珪素(Si)の含有量の多い鋳物やダイキャストの場合は良好な皮膜が得にくい材質といえます。詳しくはタフラム®処理材質別特性表をご覧ください。
タフラム®処理素材別特性表→

Q7:タフラム®の剥離再処理は可能ですか。

剥離再処理する場合は、硬質アルマイトを薬液で溶かして地金を出してから再処理すれば可能です。しかし、タフラム®のベース膜である硬質アルマイトは皮膜の半分強が素材に食い込んでいます。故に剥離をすると素材が痩せてしまいます。この状態で再成膜をしても寸法が足らなくなってしまいますので、精密部品には不向きと言えます。また、面が荒れてしまいますので、面粗度を要求する部品は剥離後に再研磨を必要とする場合があります。

Q8:タフラム®処理済み品を追加工したのですが、再処理方法に関して教えてください。

追加工した部分にだけ再成膜することは可能です。追加工した部位の地金が出ていることと、ラッキング(品物をつかむ事)時に追加工部と通電を確保できることが条件となります。タフラム®の皮膜は絶縁膜であるため、再成膜するにはラッキング部と再処理部との間に通電を確保する必要があります。品物によっては再成膜が難しい場合もあります。また、既存の皮膜に染みがでやすいこともご承知おきください。事前に詳しい打ち合わせをお願いいたします。

Q9:タフラム®はどこでできますか。

日本国内では当社(アルバックテクノ株式会社)のみが処理しています。

Q10:ニダックス®とは?

ニダックス®は米国General Magnaplate社の登録商標です。米国General Magnaplate社が開発した無電解ニッケルメッキとフッ素樹脂を組み合わせた表面処理です。日本国内ではアルバックテクノ(株)のみが処理しています。

Q11:ろう付けした部品でもニダックス®できますか?

ろう付けした部品でもニダックス®処理はできます。しかし剥離する場合、強酸または強アルカリを用いるため、ろう付けした部分が溶けてしまう可能性があります。注意してください。

Q12:ニフグリップ®とは?

ニフグリップ®はアルバックテクノ株式会社の登録商標です。アルバックテクノ(株)が開発した滑り性、離型性を重視した表面処理です。成型金型向けなどに使えるように無電解ニッケルメッキにフッ素樹脂を共析させたものです。

Q13:ニダックス®、ニフグリップ®でマスキング(めっきをつけない場所)を指定できますか?

ニダックス®、ニフグリップ®処理は基本的にマスキングができません。処理液の温度が高温のため、面へのテープマスキングでも粘着力がもたず、もれてしまいます。穴(キリ、ネジ、リーマー)であればマスキングは可能ですが、大きさが約Φ30までとなります。

Q14:バッカル®とは?

バッカル®はアルバックテクノ株式会社の登録商標です。アルバックテクノ(株)が親会社で真空装置メーカーの(株)アルバックと、共同開発した真空装置用の耐腐食皮膜です。繰り返しの加熱後もクラックの発生が極めて少なく、硫酸系(-SAL)と蓚酸系(-OX)のアルマイトです。
バッカル®とは?→

Q15:ニダックス®とニフグリップ®の違いを教えて下さい。

フッ素樹脂の量と硬度が違います。ニダックス®はまず無電解ニッケル皮膜を形成した後にフッ素樹脂の複合工程を行います。これにより皮膜硬度が高くフッ素の特性を兼ね備えた複合膜となります。それに対してニフグリップ®は共析めっきと言ってめっき液そのものにフッ素樹脂を混ぜ込みます。無電解ニッケルメッキが化学反応で析出する際にめっき液に含まれるフッ素樹脂をめっき皮膜中に取り込みながら成膜するため皮膜の中に30Vol%のフッ素樹脂を含んだ皮膜となります。

Q16:ニダックス®・ニフグリップ®はアルミ材に処理できますか?

可能です。2009年1月よりニダックス®及びニフグリップ®もアルミ対応を開始いたしました。只、アルミ対応のニダックス®とニフグリップ®はアルミ部品に適応した熱処理を行います。したがって従来のニダックス®と比べてアルミ対応ニダックス®は皮膜硬度がHv600と若干低くなりますが、タフラム®より硬い皮膜を得る事が可能です。尚、アルミ対応ニフグリップ®の皮膜硬度はHv300で従来品と同じ硬度が得られます。お引合いの際は弊社営業までお問い合わせください。

Q17:ヘリサート等が入ったままアルマイト処理(バッカル処理、タフラム処理)は可能ですか?

ヘリサート等は除去をお願いします。異種金属の組込み(ヘリサート等の挿入や鉄ピンの圧入)がある場合は、アルマイト処理時に溶解してしまいますので、必ず除去してご依頼ください。圧入などで取り外しができない場合は、マスキングで対応できる場合がありますので、事前にご相談ください。

Q18:硬質アルマイトは処理可能ですか?

可能です。タフラム®処理のベース皮膜は、硬質アルマイトなので、処理できます。

Q19:ハードアノダイズ(HARD ANODIZING)処理は可能ですか?

可能です。日本国ではJIS H8603の工業用硬質アルマイトを指していると認識していますので、相当の硬質アルマイト皮膜は成膜出来ます。MIL-SPEC A-8625 TYPEⅢ・SAE-AMS 2469についてはお問い合わせ下さい。

Q20:蓚酸アルマイト処理は可能ですか?

可能です。当社のVACAL®-OX(バッカルOX)処理で対応可能です。アルマイトの中で耐食性の高い皮膜です。

Q21:テフロン※1(潤滑)硬質アルマイト処理は可能ですか?

当社のタフラム®処理で対応できます。詳しくはタフラム®処理のカタログを参照下さい。

Q22:カニゼンめっきは処理可能ですか?

カニゼンめっきは日本カニゼン株式会社様の登録商標になります。当社では無電解ニッケルめっき(Ni-P)で対応可能です。

Q23:ルブニック処理は可能ですか?

代替は可能です。当社のニダックス®になります。ルブニック処理は三菱マテリアル様にて処理していた皮膜で、現在は処理が行われていません。ニダックス®に切り替えて頂いております。

Q24:テフロン※1(潤滑)ニッケルメッキは可能ですか?

当社ではニダックス®・及びニフグリップ®で対応できます。皮膜特性が違いますので、使用用途によりお問合せ下さい。

Q25:クロムメッキは処理可能ですか?

当社では処理しておりませんが、代替で無電解ニッケルメッキ又はニダックス®をお勧めしております。クロムメッキに近い硬度があり、切り替えて頂くケースがあります。その他物性に関してはお問い合わせの後、評価をお願い致します。

※1 テフロンはデュポン社の商標登録です。

アルバックテクノ株式会社 ULVAC TECHNO,Ltd.